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2007年04月18日

龍乃舞

今回、初めてケータイのフルブラウザから更新する管理人・暁 紅龍です。

今回更新するのは小説「龍乃舞」です。
其では、「続きを読む」からご覧下さい。今日も何時もと変わらない1日が眩しい朝日と共に訪れる。険しい山脈の奥で、人がやっと暮らせるようなこの地で……。日々何事も起こらず平凡な、しかし穏やかで暖かな日々が今日も始まる……。

僕はこの村で父と暮らしている。母は僕が幼い頃に亡くなってしまっていて、顔は覚えていないが、父の話と、写真を見る限り、優しく穏やかな人だったようだ。
母が居ない分、父が色々と世話をしてくれているのでそんなに寂しくもない。むしろ………。

「あっにきぃ〜☆」
そう僕に考えている隙を与えずに背後から抱きついてきたのは僕の弟である。双子の兄弟としては珍しく、多少背丈が弟の方が大きい。

「全く…、どうしたんだ?」僕は未だに背に抱きついている弟に何事か聞いてみる。

「…?あ、そうそう。お父さんが呼んでたんだよ。二人に話したいことがあるから〜って、怖い顔しながら。」

最後の『怖い顔しながら』と言うのに、また何かあったのかと萎縮してしまいながらも応接間に座布団に正座をしながら待っている父の元へと向かった。

「お父さん〜、兄さんを呼んで来たよ〜☆」弟が場の雰囲気など一切読んでいないような浮かれた声で父に話す。

「ありがとう。……では早速だが、明日は何の日だか分かるか?」父は意外にも穏やかに聞いてきた。
『はい、明日は神礼祭の日です。』二人で声を合わして父に応える。
「うむ、そうだ。そしてお前達には、今年から参加することになった。」

「ホント………ですか?」僕は思わず声を裏返して聞いた。


神礼祭というのは、この村に古くから伝わる言い伝えによって行われる祭礼……。
本来、この地は不毛の地とも呼ばれる程に住める環境ではなかった。しかし平地が海面に徐々に浸食されていき、僕たちの先祖はこの地で生活するようになったのだ。
その際にこの地に住まう神霊に願いを捧げ、神霊の力によってこの地は平穏に暮らせるようになった。
その出来事から、神霊様に感謝と祈りを捧げるこの祭礼が始まったとされている。
そしてこの祭礼で神霊様に祈りを捧げる役割を絶えず受け継いでいるのが僕の家族であり、父が今の「継承者」と呼ばれる血族の中で祭礼を執り行う総指揮者でもあるのであった。

「分かっているように、お前達は今までの継承者よりも数段に神霊様の力を宿している。私は歳を取って力が減りつつある…。よってお前達に継承者としてこの祭礼に参加してもらう…。」父は真剣な面持ちで僕らを見つめ、ひしひしとその緊張感が応接間に伝わっていく。

『分かりました。父さん。』
そうして僕らの「受け継ぐもの」としての祭礼が始まろうとしていた。

翌朝、いよいよ神礼祭当日を迎えた。
僕らは朝早くから、村の外れにある祠にほど近い場所にある、小さいながらも設備の整った舞台で僕らは心霊祭で踊る舞踊の稽古をしていた。
舞台からは僕と弟の掛け声が響き渡る。

今日のこの日を迎え、僕らの奥深くに眠る物を呼び覚ます事など、思いもよらなかったであろう。
緊張と着ている衣服のせいか、微かに体の奥から発する熱と重い鼓動に気が付きもしなかった。

そうして、遂に僕達の出番が回ってきた。
極少人数の祭礼関係者のみが見ることの許される「神託乃舞」…。毎年父が執り行っていた舞踊だ。それを今年から僕らが受け継ぎ、舞い踊るのだ。観客席には勿論父もいる。
「よし…行くよっ…!」僕は弟に合図を送り、いよいよ舞を始める。

舞台袖から出てきた僕は紅い袴と同系色の烏帽子を纏い、朱色に染めあげた鉄扇を持ち、反対側から出てきた弟は僕とは対照的に蒼い袴に同色の烏帽子を纏い、白色の鉄扇を持って舞台にいる。

“………どくんっ……。”

舞台に立った途端、体の奥から、一気に何かが鼓動を始める。同時に熱が体中に回り始める。

しかし、それでも僕は左右対照的な動きをしながら、弟に向かい、鉄扇を持った左腕を延ばしつつゆっくりと天井へ向けてあげると、閉じていた鉄扇を一気に開く。

「「はっ…!」」
弟と同じように対照になるように動きながら、掛け声を上げる。
「兄さん…、僕凄く寒い…。」
その際に、弟と向き合ったとき、弟が聞こえないようにそっと呟いてきた。動揺を隠しきれないが、しかし踊らなければ、父から受け継ぐこともそして祭の最後も締めくくれずに終わってしまう。

責任感に後押しされるかのように、そっと弟から離れると、今度は床へ向けて鉄扇を振りかざす。弟も僕に合わせて鉄扇を振るう。
だが、徐々に僕の体の中の熱は膨張するかのように広がっていた。
“身体が…熱い…っ!…だけれど…“

そのままこらえながら踊っていくと、遂に弟が膝をついて倒れ込んでしまう。吐く息は白くなっていて、何時も以上に呼吸が荒い。

「大丈夫か…?!」

僕は舞うのを止めて弟へ駆け出し上半身を抱き上げる。
すると弟の体はまるで氷のように冷たくなっていた。吐く息が白くなっていたのは……、これが原因であったのだ。そのためか、肌は青白く、細かな毛先や指先には霜がつき始めている。常人なら、既に命が尽きている程だ。

「兄さ…ん…僕…ぐっ…あぁ…っ!!!……。」

弟が僕の事を呼ぶが、身体が持たなかったのか気を失ってしまう。
しかし、気を失ってから数秒と経たずに再び目を開く。

『……こやつ…なかなか意志が強いのぉ……、お主も早く起きぬか……。』

弟の口から発せられたのは、重苦しい男性の声であった。

“…ドクンっ!!…ドクンっ……!!!!”

「ぐっ……っ!!」

僕はその声を聞いた途端、熱と鼓動が一気に高まり、意識が飛びそうになる。
何とか意識をつなぎ止めたとき、僕の体の奥底から、何かが目醒めた。

“…お主の肉体…しばし借りるぞ…”
弟と同じ様な低い声が頭の中に響く。
「な…、僕をど、どうする…あぁっ……!」
僕の意識と身体の感覚が急激に失われ、身体の奥底で眠り、そして目醒めた意識が、体を支配していった……。
僕の意識はそのまま体の奥へと沈むかのように眠っていく…。


『……ふぅ…、蒼(そう)よ…、すまなかった。憑代の意識が強くてな…。』

そうして私は目醒めた新しき「躯」を見回す。か細き小さい肌色の体…。まだ子供ではないかと溜め息が漏れる。しかし以前の「憑代」では力不足であった…。

『紅(こう)…、以前のお主らしくないのぉ…。さては、力が弱まったか…?』
蒼は私に対して皮肉を込めたような言葉を放つ。
『かかか…、それはどうかのぅ…?お主も人の事は言えぬのでは無いか…?』
私も蒼に皮肉を込めて言う。

“…まあ、熟せばこの身体も良い躯になる…。”

そうして私は立ち上がる。体はまた熟していないが、身体からは熱く煮えたぎる力がある。以前の「憑代」より、遥かに力強い……。

『では…我等も早速、「元の躯」になりますかな…。』
そうして手にする朱色の鉄扇を開き、呪を唱えると私の躯に炎の渦が巻き起こり、対する蒼は蒼色の鉄扇を頭上高く投げ、呪を唱えると憑代の体を覆うように冷気が渦を作り上げていく。

そうして、舞台上にいた二人は互いに近寄り両手を力強く合わせると、それを中心として二つの渦が互いに吸い込んでいき一つになり、二人の身体までもが中心に巻き起こった渦に吸い込まれ、互いにまるで冷気と暖気が混ざっていくかのように交わっていき、そして一つの体に集合していく。

互いの体が混ざり合った体では、骨格は筋肉を伴い大きく逞しい体になっていくと、体の各部が「人」では無い別な物に変わっていく。

躯を覆う皮膚は背面は朱色、腹部は蒼色の光沢のあるなめらかな皮膚に変わり、腰の辺りから筋肉を帯びて長く延びていく尻尾の先端部までを覆う。

「ぐっぁぁっ…!!」

声に鳴らない叫びをあげながらも、体がどんどん人間離れしていく……。
手足は伸びて特に脚部と腕部は筋肉が著しく発達すると、足の先端には鋭利で巨大な爪が生え、足の形状も前四本、後ろ一本へと変えていく。それは手にも起きており、指の数は四本に変わっていく。
首は長く太く、筋肉が筋張っていて、頭も形状が扁平して、口当たりから前へと伸長していき、口腔内では舌が長く分厚いものになっていくと口の先端には鋭い牙が見える。
耳は蒼色に染まり、横に大きく広がり、瞳は眼孔鋭く大きな物になり、頭からは二対の黒く光る角が現れる。

「グァアァァアアアッ……!!!!!」

ひときわ大きな声を出すと、背には肩甲骨辺りから一対の巨大な翼が生え始める。翼の皮膜は表側が朱色、裏側が蒼色になり、互いの異なる力を示していた。

そして、舞台に起こっていた冷気と暖気の渦から大きな獣のような腕が現すと、渦は瞬く間に消えていく。そこには、朱色と蒼色の皮膚をした一匹の巨大なドラゴンが目を閉じて仁王立ちをしていたのだ。

そうしては私は瞳を開く。
己の躯を見回すと、朱色の体に若干の蒼い皮膚…。私は蒼との「勢力争い」に勝ったのだ…。

『今年は…、我が勝ったようだ…。』そうして私はこの躯で初めて声を出す。

「おぉ…、そのお声は紅様…。」
村長が紅に近寄り、そして深々と跪く。毎年、この様な催しを開くとは…。我等神霊にとっても嬉しいばかりであった。

「左様…、我は紅…。暖気を司る神霊…。今年は我が、ぬし等の暖かな一年を約束しよう…。」

挫く彼に向かい、彼らとの誓いを交わす。
そう、神託乃舞はこの地に眠る神霊を継承者の体に宿し、直接継承者を通して神霊との誓いを交わすという儀式であったのだ。

『我の憑代も…、非常に力強い……。この子等を大切に育てるのだぞ…。』

以前の継承者…、即ちこの子等の父に伝えると、体に力を込める。一気に体が光り輝き、その光は光の柱となり天へと延びていく。すると、天を覆っていた厚い雪雲は光の柱に貫かれて消え去り、真っ青な青空が顔を見せる。

「おぉ……。ようやく遅い春が来た……。」

皆一同に新しい季節の到来に喜びの声を上げる。そうして光柱が消えると、ドラゴンのいた場所に、二人がお互いを覆い隠すかのように気持ちよさそうに眠っていた。きっと彼らの力を使い果たし、再び彼等の奥深くで眠ってしまったのであろう。

「良くやった…。二人とも…。」
父が僕と弟に毛布を被せ、抱きかかえて家へと帰って行った事を知ったのは翌朝であった。
あの後の出来事は断片的にしか思い出せない。僕が弟と一緒になって、大きなドラゴンになった事だけは、覚えている。
父は、まだ神霊様の力を上手く使い切れていないと、僕らに継承者としての知識を受け継がせてくれると言う。
僕らはこれからも継承者としてこの村に生きていく。
神霊様に遣えるために。
posted by 暁 紅龍 at 23:29| Comment(1) | TrackBack(0) | 旧自作小説(オリジナル) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 ブログへの書き込み&なんとそらゆめのダウンロードありがとうございました。10円GETできました(それはいいって)。感想も非常に励みになります。今後もドラゴンや幻獣の物語を世に送り出せればなぁと考えております(ビーストコード次第ですが)。
 物語も興味深く拝読させていただきました。竜への変身、迫力があります。またストーリーも富んでいてパワーと考えさせられるものを与えてくれました。
 これからもどうぞよろしくお願いいたします!!
Posted by 米村貴裕 at 2007年04月19日 23:16
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